
デリカ(三田無線)のディップメータです。アマチュアの世界だけでなく計測器でも老舗のメーカーでしたが、惜しくも先日廃業しました。
某OMのシャック整理の際にいただきました。上の写真は、メータを交換しメンテナンス後の状態です。
HAMBAND DIP METERという名称が付けられており、コイル4本を差し替えて3.5-144MHzのハムバンドをカバーするように設計されています。中波放送を含む500KHz-3.5MHzは、コイルを自作すれば利用可能でしょう。
シリアルNoが手書きで入っていることが手作りを感じさせます。6ケタ数字の最初2ケタの39は、昭和39年製という意味かもしれません。

まず中を開けて目視チェック、特に異常なパーツはありません。真空管は6AK5です。
動作確認のため電源を入れましたが、メータが振れません。ヒータは点灯しているので電源をチェック、するとトランスの2次側からACが出ていません。トランスの断線らしく、テスターでも巻線の導通がありません。
回路図を入手し確認したところ、2次側の電圧は130Vです。ヒータの6.3Vも取り出せるトランスを探しましたが、小型すぎて中古・ジャンクとも見つかりません。
あきらめて再チェック・・・・すると今度は2次電圧が出ています。ハンダ箇所の劣化らしく、再ハンダしたら問題なく電圧が出るようになりました。
これで解決と思ったら、依然としてメータが振れません。感度調整ボリュームを最大にすると、メータがわずかに動きました。真空管に電流は流れているようです。
電源のケミコンは劣化部品なので交換、しかし変化ありません。
原因はメータ(1mA)でした。テスタを直列接続し、電流を比較すると1/5程度しか振れません。分流抵抗が劣化している可能性があると考え交換を試みましたが、分解が難しくメータを壊してしまいました。
古い機器なので市販の同等品(H社製と思います)はなく、中古品を探してもいつ入手出来るかメドが立ちません。
結局、外観が異なる同サイズのメータをオークションで入手し、メータパネルを貼りかえることにしました。
メータは狭いスペースにネジ止めしてあり、パーツのハンダを外す必要がありましたが、ネジ穴は修正不要でした。
写真の左が従来のメータです。

パネルは外してスキャナでPCに取りこみ、レタッチソフトで文字をコピー・目盛りを修正して仕上げ、シールにプリントしました。
写真の右端が元のパネル、左端が入手したメータのパネル、中央がデザインしたシールです。
左パネルの裏側にシールを貼り、はみ出した箇所をカットしてメータへネジ止めしました。

もう一つ気付いたことがありました。
ヒューズがありません。
スペースが少ないのですがヒュ−ズボックスを追加し、0.5Aのヒューズを入れました。
ACコードも細く感じたので、交換しました。
デリカの古いディップメータは、回路図で見た限りヒューズが無い場合があります。お持ちの方は、ヒューズを追加することをおすすめします。
オシロで発振回路の動作が確認出来たので、発振周波数と目盛りの誤差を調べてみました。もっとも、誤差が大きくても調整箇所が無いのですが・・・・・・。
グラフ表現が難しいので、4本のコイルでカバーする周波数範囲の上・中・下で測定・整理しました。
|
上 |
中 |
下 |
目盛値 |
測定値 |
目盛値 |
測定値 |
目盛値 |
測定値 |
レンジA |
145MHz |
141.5MHz |
90MHz |
88.0MHz |
60MHz |
58.9MHz |
レンジB |
50MHz |
49.0MHz |
37MHz |
36.5MHz |
25MHz |
24.7MHz |
レンジC |
21MHz |
20.7MHz |
14MHz |
13.7MHz |
10MHz |
9.85MHz |
レンジD |
8MHz |
7.8MHz |
5MHz |
4.9MHz |
3.5MHz |
3.45MHz |
配線の浮遊容量の影響があり得ます。精度を云々するのではなく、周波数はカウンタ等の機器で確認すべきです。
私の場合、ディップメータはコイルの自作やLCの共振周波数の測定に使います。誤差は傾向として把握しておき、利用時に誤差を補正しておけば十分です。
面白いのは、周波数を可変するダイヤルの回転角度が180度ではなく、190度と大きくなっています。バリコンの構造上、ストッパがあれば180度が当たり前と考えていました。
DELICAのブランド力でしょうか、古い機器でもDELICAの製品は高値がついています。測定器としての価値ではなく、レア物としての価値でしょうか。
コレクションアイテムなら、メータの形状までこだわらねばなりませんが、私は実用面重視ですHi。いずれ偶然にメータが入手出来たら、復元を試みます。
回路はシンプルなので、(今さら真空管の機器でもないのですが)やる気のある方は自作すべきでしょう。