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注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2007.12.24作成
2010.9.26追記

トリオ TR-9300

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移 非公開
☆送信周波数構成 非公開
☆受信周波数構成 非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅 非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

TR-9000シリーズの50MHzオールモードトランシーバです。モービル機サイズですが、常置場所はもちろん移動運用で多く用いられました。1980・90年代の移動運用ブームでは、バッテリと9300を持った登山運用や、多エレメント八木と組み合わせた大型運用にも使われました。
 パワーが3Wと少ないとはいえ、AMが使えるのは6mでは魅力だったようです。対抗機は、アイコムはIC-560・IC-505、ヤエスはFT-680でしょうか。アイコムはAMがありませんし、FT-680は、リニアアンプを接続・制御する信号端子がありません。TR-9300を含む9000シリーズはSTBY端子が裏面についており、リニアを接続したSSB/CWの運用に有利でした。移動運用でも、電源があれば50Wは欲しいところです。
上面図 下面図

発振部

本機は約10.695MHzの各モードの変調信号に60.695-64.695MHzのPLL信号をミックスして50-54MHzの出力を生成します。変調信号・PLL信号の周波数はモード毎に異なるので、周波数カウンタで調整しました。
PLLのVCOの調整は、他のTR-9000シリーズをご参照ください。

受信部

まず、メータの針位置の異常に気づきました。USB、CWモードで無信号時にS2-3振れたままです。ボリュームVR2を調整し、0点調整をしました。
さて、バンド内の感度を調べると、50.5-51.5MHzの範囲があまり良くありません。他のバンドに比べ幅が広いので、一定の感度を確保するのが難しいところです。実際は50.0-51.5MHzが使えれば十分なのですが、全バンドをなるべく同一感度になるように高周波増幅部を調整しました。50.0MHzと52.0MHzの2点調整が良い結果を生みました。
ミキサー3SK74への入力コイルL6と出力コイルL7を回すと、Sメータが3から7まで振れるようになりました(FM受信時)。ここまでは全モード共通の回路(10.695MHz)で、さらにフィルタを通過した後にFMとSSB/CW/AMに分かれます。
FMと他モードの回路が異なるので、個別にデータを取りました。いずれも使用可能なレベルです。
FM
調整前 調整後 S特性(F=51.00MHz)
SSB
調整前 調整後 S特性(F=51.00MHz)
最後にSメータを校正しました。FMは30dBuでフルスケール、SSB/CWは20dBuでS9に設定します。
受信感度は以下の通りでした。十分使えそうです。
  FM: 1uV入力 S/N 34dB (F=51.0MHz、MOD FREQ=1KHz、 MOD DEPTH=5KHz)
  SSB: 0.2uV入力 S/N 12dB
  AM: 0.7uV入力 S/N 11dB

送信部

パワーは電源電圧13.8Vで9.8-14.8W(FM送信時)出ました。絶対値は悪くないのですが、バンド内の差が大きいようです。パワー制限のボリュームを回して制限を解除すると、52.0MHzで最大の22.5W出ます。バンドエッジでは17Wを切っており、差は一層広がります。
 パワーモジュールM57735の定格出力はSSBで19Wなので、オーバードライブ気味かもしれません。
ドライブ回路等のコイル・トリマを調整しました。50MHz出力後のドライバ段はコイル2段の複同調が3つあります。バンドエッジのバランスを考慮したら、右のようにエッジの落ち込みが減少しました。
 最大パワーが15Wになるようにし、パワーアンプの調整は終えました。
FM変調をかける水晶発振の周波数が400Hz高めでしたので、調整しました。SSB/CW/AMの10.695MHz発振は問題ありませんでした。
スプリアス特性は非常に良好で、-70dB程度あります。これくらいの特性があると安心です。
 右写真 X:50MHz/div、 Y:10dB/div
 周波数・モード:51.000MHz FM

その他

オールモードのリグですが、手持ちの取り扱い説明書(コピー)の「申請書の書き方」を見るとA1、A3J、F3だけでA3(AM)が記載されていません。定格にAMは低電力変調と記載されているので、意味を理解出来るベテランは申請書作成に困りませんが、そのまま申請書に記載したビギナーもいたのではないでしょうか。
AMが今も使われている50MHzですが、それも都市部の話で、田舎ではAMは『幻のモード』になりつつあります。私のハムライフは50MHzAMで始まったので、それなりに愛着がありますが、仲間がいなければ運用は難しいですね。Esの時期なら、チャンスはあるでしょうか。  10W→50Wのリニアアンプを接続すれば、AMでも15-20Wは得られると思います。