
IC-2300の後継機種で、AQSに対応した唯一のデュアルバンダーです。ハイパワー25W機は珍しいでしょう。
AQS(Amateur Quinmatic System)はヤエスとアイコムが採用した通信システムで、以下のような機能を持っていたようです。
(取説より抜粋)
機能 |
内容 |
チャンネルアクセス | 空きチャンネルを探し、自動的にその周波数に変更・設定する |
コールサインスケルチ | コールサイン情報がある信号のみスケルチが開く |
コードスケルチ | 5桁の数字コードで呼ばれた場合のみスケルチが開く |
データメッセージ | 14文字単位のメッセージを送受信する |
コードメモリー | 暗証符号となるコールサインや5桁の数コードを記憶する |
トリオの推進していたDCLと似たような機能ですが、当時のことは分かりませんし、興味もありません。もちろん、使える相手もいませんHi。アイコムでは、IC-26と本機に採用された模様です。
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上面(送信・PLL回路) |
下面(受信・変調回路) |
スケルチが閉じたままで、無信号時にノイズが出ません。信号はしっかり聞こえるので、スケルチ回路を調べましたが、予想通りスケルチボリュームの故障(摺動部がオープン)でした。他のリグを修理するために入手した手持ち品と交換しました。
144MHzの受信感度は悪くありませんが、実用範囲の144.80-145.60MHz付近がこの上下よりも悪いようです。バンド内の感度差を少なくするために双峰特性に調整してあるためでしょうか、今回はアマチュアバンド内を重視して感度アップを図りました。
430MHzは高い周波数で悪化傾向です。これは調整ズレと判断し、432.0MHzと438.0MHzで交互に調整を繰り返しました。434.00MHzでS1の信号がS6にアップしました。レピータ受信周波数の439-440MHzでは、概ねS1→S9になります。
受信感度は以下の通りでした。規格は満足するようです。
144MHz: 20dB NQL -7.5dB
430MHz: 20dB
NQL -8.5dB
送信するとパワーは出るのですが、隣に置いたモニターのリグからガサゴソという変調音が聞こえてきました。マイクの接触不良か?と、マイクを交換しましたが、変化ありません。リグ側のマイクケーブルがおかしいようで、リグの根元(下写真の断線箇所)を動かすと異常音が出ます。指で触れると凹んでいる箇所があります。
マイクコネクタ付きの特殊ケーブルを交換したくても、入手が難しそうです。某販売店の店長から「断線が結構あったんですよね・・・・」という声を聞きました。ケーブルを外すのも難しそうでしたが、何とか成功したので断線箇所と思われる箇所を切断、リグ内部にケーブルを押し込んでハンダ付けし、解決しました。

マイクケーブルは7-8cmくらい短くなりましたが、弊害はありません。
収縮チューブで絶縁しましたが、見栄えは良くありません。でも結果は良好、オーライとしますHi。
このリグもIC-2300同様に出力回路の調整箇所がなく、パワー設定ボリュームをいじる程度です。
前オーナーがボリュームに触れたのでしょうか、パワーは両バンドとも30W近く出ており、これ以上変化ありません。無駄な抵抗は止めましたHi。
スプリアス特性は良好で、-60dB以下です。
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144MHz |
430MHz |
144MHz:
X:100MHz/div、Y:10dB/div
F=145.00MHz
430MHz:
X:200MHz/div、Y:10dB/div
F=433.00MHz
プッシュスイッチが多いリグで、電源スイッチまで含めると23個あります。普通のQSOのみでメモリを使わないならば、1/3程度に触れるだけです。
周波数・S/RF表示は蛍光表示管ですが、照度を切り替えるディマースイッチがスケルチボリュームにあります。ボリュームを交換する際、スイッチなしでもいいかな・・・と考えたのですが、夜間運用でディマーが機能すると適度な明るさになります。スイッチ付きボリュームが入手できたのは幸いでした。
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ディマーOFF |
ディマーON |

後で気づいたのですが、アンテナのケーブルが引っ張られたらしく、リグ根元で同軸のシールド部が露出していました。故障の原因になりそうなので、手持ちのケーブル(多分K社製)に交換しました。
マイクケーブルと同じことですが、引っ張り・曲げの力を加えると故障する代表的な事例です。修理・代替は非常に難しいので注意しましょう。