![フロントパネル](hl37v/hl37v-2.jpg)
東京ハイパワーの144MHzの小型リニアアンプです。ハンディ機のパワーアップを目的に購入したもので、重量はわずか550g、入力3Wに対し出力32Wが得られるそうです。
GaAs FETの受信アンプも内蔵しており、ON-OFF可能です。フロントパネルでゲインを連続可変出来ます。
パワー表示はアナログメータではなくLED5個のバーグラフ表示です。
![回路(下面)](hl37v/hl37v-3.jpg)
底面パネルを外すと、回路が確認出来ます。
送信はトランジスタ2SC1946Aのシンプルなアンプで、トランシーバ出力を直接入力しています。
RFパワーの表示は、RF出力の一部を検出しバーグラフLEDドライバLB1403NでLEDの5段階表示を行っています。
一方、受信はFET 3SK121のアンプで、ドレイン・ゲート電圧を可変してゲインを調整します。
リレーは送受信切り替え・受信アンプ切り替えのいずれも小型リレー(松下DS2V-M-DC12V)ですが、出力30Wを通過させるのはやや心配です。
ロスは無視できるレベルですが、コストダウンの跡と判断します。
トランシーバから1W程度のパワーを入れると、10W以上の出力が得られます。まずまずと感じ、モードをFMからSSBに切り替えると、リレーがガチャガチャとON-OFFを繰り返します。
キャリアコントロールの時定数を決める電解コンデンサが劣化していると推定、交換しました。以降、安定して動作します。基板をヒートシンクから外すついでに、バイアス回路に付属するコンデンサも交換しておきました。
入出力のトリマを調整するとスンナリとパワーが出てきます。ところがスペアナでモニターすると、トリマの位置によって目的外の周波数成分が多数観察されました。発振しているようです。 (左下写真) :2013/6/14追加しました
パワー計からは、この現象は判別不能です。電源回路を安定化するため、上写真矢印のパスコン3個を追加しました。以降、安定して動作します。
![](hl37v/hl37v-8.jpg)
F=145.04MHz
Pi=1.5W、 Po=32W
X:50MHz/div
Y:10dB/div
パワーの入出力特性を示します。入力わずか1Wで出力30Wが得られます。 F=145.12MHz
取説では、出力32W(20-35W)、入力3W(0.5-5W)と書かれていますが、0.5W入力で出力20Wという意味と解釈すればほぼ一致します。入力3W/出力32Wは、飽和状態の値です。
入力は1W以下に抑えておくべきでしょう。
入力回路に3dB程度のアッテネータを追加したいのですが、スペースとパターンの制約上困難です。
![入出力特性](hl37v/hl37v-4.gif)
![スプリアス特性](hl37v/hl37v-5.jpg)
スプリアス特性は2次高調波が-60dB以下で良好です。
F=145.12MHz
Pi=1.5W、 Po=32W
X:100MHz/div
Y:10dB/div
![受信アンプ](hl37v/hl37v-6.jpg)
プリアンプは入力トリマを調整すれば終わりです。
ゲインは約12dBありました。フロントパネルのスライドボリュームで3SK121のドレイン・ゲートの電圧を下げており、最大-20dBのアッテネータにすることも可能です。
受信時の相互変調が改善されるか?は、不明です。基本的には、通常はアンプOFFにすべきです。
ノイズすれすれの信号を受信しアンプをONにするとS/Nは改善されます。ゲインも過剰ではなく、効果は十分期待出来ます。
ハンディ機の有効活用を目的に購入したのですが、あまり使いませんでしたHi。
FM運用の場合、30W出力でヒートシンクがかなり暖まります。軽めにドライブして運用することがおすすめです。