レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2009.4.14作成
2010.9.26追記

トリオ TR-5100

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移 非公開
☆送信周波数構成 非公開
☆受信周波数構成 非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅 非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

トリオの水晶式FMトランシーバです。50MHzFMのモービル機は、井上と福山電機・極東電子が先行していたようですが、ここへ大手のトリオが初参入した製品です。
もっとも、数か月前に発売した144MHzのTR-7100がヒットし、モービルは144へシフトしました。ホイップの長さが1/3で取り付けも容易ですから、50MHzが賑わうことはありませんでした。
入手して驚いたのは、トリオのチャンネルプランが50KHzステップだったことです。後日入手した取扱説明書は、50.80MHzから50.85、50.90、50.95、51.00・・・と周波数を記載していますし、実装されていた周波数は50.85、50.95、51.00、51.20MHzの純正らしき水晶と51.16MHzの非純正水晶でした。
井上のIC-60は40KHzステップでした。当時の流れがどちらだったのかは後日調べますが、メーカーの足並みが揃わなかったのであれば、これが50MHzFMの人口が増えなかった一因かもしれません。
VFO機であれば、どちらにも合わせられますが・・・・・。
上面図 下面図
上面が送信回路・下面が受信回路に分かれています。パワー切り替えのスイッチはなく、10W固定です。
入手したリグは、外観は汚れ・キズ・塗装ハガレがかなりありましたが、中は比較的きれいでした。

パーツ交換とクリーニング

古いリグであり、かつ汚れ・キズ・サビ等で外観も良くありません。パーツを多数交換しました。写真をご覧ください。
まず、側面のコの字型のカバーです。アルミですが、汚れ・キズが多数あったので、ジャンクのTR-7100のパーツと交換しました。裏の型名・シリアルナンバーを示したプレートは、ボンドで接着しました。
次はM型コネクタ、この頃のトリオのコネクタは接触不良が起きやすく、ケーブルに触れると受信感度や出力が変動した経験があります。手持ちのコネクタに交換しました。
ネジもサビが出ていたので、外から見えるネジは全て交換しました。ツマミのイモネジも同様です。
電気系のパーツは、ケミコン19個を全て交換しました。電気特性に極端な異常は見られませんが、手持ちがあったので、今後の寿命を考慮しました。手持ちのパーツで製造後15年以上は経過していますが、何もしないよりマシです。
フロントパネルの汚れもきつく、タバコのヤニ?か黄色っぽくなっていました。文字が消えては大変・・・・・と、最初は中性洗剤、次に汚れ落としの『シンプルグリーン』で洗浄しましたが、きれいになりません。右上写真は左半分のみ洗浄した結果で、限界を感じました。
ここで「秘密兵器」を使った結果が右下写真、スッキリときれいになりました。もちろん、心配していた文字消えもありません。
秘密兵器・・・・・実は、家庭用のメラミンスポンジです。(下写真)
台所でお使いのご家庭も多いと思いますが、洗剤では落ちない茶シブやナベの焦げ付きがきれいになるシロモノです。水につけるだけで、洗剤類は不要です。
フロントパネルはアルミヘアーライン加工なので、横方向にこするときれいになりました。
実は、4年くらい前にJR-599のパネルクリーニングで効果を確認していました。困った時のオススメですが、文字消えが発生する危険性もあるので、注意しながら自己責任でチャレンジして下さい。
塗装面への影響は不明です。
中の水晶を固定するスポンジはボロボロ、水晶は緑色のサビが出ていました。スポンジを剥がし、水晶は磨きました。

受信部

第1局発は40MHz台のHC-25/Uです。5チャンネルとも発振しており、周波数は500Hz-1.8KHz低めでした。発振コイルL34を調整後、300Hz程度高くなりましたが、ワーストで-1.6KHzです。許容できる範囲でしょう。
調整前 調整後
受信も出来、悪くはありませんが、わずか350KHzにしてはバンド内の変動が大きいようです。51.0MHzを中心として50.85MHzと51.2MHzで感度が均一になるように調整を試みました。
低い周波数で目盛1程度振れるようになりました。目盛8を越えると振れにくくなります。
感度は1uV入力でS/N30dB(F=51.0MHz)となりました。
455KHzのフィルタはLF-C25でワイドです。IC-60と同様で、現状で十分です。

送信部

発振は2MHz台のHC-33/Uで、24逓倍して50MHzを得ます。2MHzからX3、X2、X2、X2という構成で、TR-5000と同じです。原発振周波数が低いのは、水晶にFM変調をかける際のデビエーションを確保するためと思われます。
この水晶ですが、ソケット装着ではなくハンダ付けが必要です。
5チャンネルのうち、50.85MHz・50.95MHzでパワーが出ません。残り3チャンネルも9W以上出るものの、不安定なチャンネルがありました。これらはロータリースイッチの接触不良が判明したので、接点洗浄剤でクリーニングし解決しました。
残り2チャンネルは水晶の不良を疑いましたが、原発振はオシロで正常なことを確認しました。ドライブ・ファイナル段を疑い、ドライブのトリマを回したらいきなりパワーが出るようになりました。ただし不安定で、わずかな変化でパワーが出なくなります。不良のトリマTC15、TC16を交換したら、安定しました。
ファイナルのトリマも慎重に回して調整し、結局11W以上の出力が得られました
スプリアス特性は左の通りで、問題ありません。方向性結合器に周波数特性があり、50MHzの成分は100MHz以上に比べ3dB少なく表示されます。から、2倍高調波は70dB以下です。
   X:20MHz/div、 Y:10dB/div、 F=51.00MHz
送信のナロー化ですが、ボリュームVR4を調整し、デビエーションを15KHzから5KHzに下げます。
変調音も、モニターした限り問題ありません。
最後に周波数調整を行いました。トリマで合わせ込みましたが、非純正水晶の51.16MHzのみ9.5KHz高くなりました。トリマにコンデンサ56pFを追加しましたが3KHzしか下がらず、補正出来るレベルではないので利用は断念しました。

その他

正常動作を期待していなかったリグですが、意外?にも動作するようになりました。ローカルラグチュー出来る相手がいれば、常時ワッチしていても面白そうです。