ローパスフィルタ ELP-60

2014.5.26作成
まえがき
ELP-60外観 またまたジャンクボックスから出てきた代物です。
 エリート無線商会のローパスフィルタELP-60です。詳細情報は不明ですが、50MHzのリグに実装可能なローパスフィルタです。
 10W機に内蔵するものでしょう、大きさは約70mm X 32mm X 18mmでネジ穴があります。
 コネクタは無く、同軸ケーブルはハンダ付けします。
 大きな特徴はインピーダンス75オームという点です。開局した70年前後は、リグのインピーダンスは75オーム、アンテナの同軸ケーブルも75オーム系の3C・5C・7C等でした。70年半ばあたりから、50オームに統一されたようです。
 従って、現在では使用用途が無い製品です。
構造
フィルタの中身 ベークのプリント基板にフィルタを構成し、シールドケースを被せた構造です。裏面で基板とシールドケースがハンダ付けされています。
 前後しますが、電気特性評価後にシールドケースを外しました。シンプルな構造で、左写真のように各段がシールド板で分離されています。
 MAX50Wとのことですが、連続パワーなら30W止まりではないでしょうか。
 
特性評価
特性評価 インピーダンス75オームなので、手持ちの測定器のインピーダンス50オームと整合しません。フィルタ入出力に抵抗を追加しインピーダンス変換しました。
 測定は右のような状態で、一方にSG、もう一方にスペアナを接続して実施しました。
 抵抗の損失が発生するので、低い周波数で損失量を確認して結果を補正します。
 また、空中配線なので高い周波数の測定精度は期待出来ません。100MHzまでは信用出来るでしょう。
 測定結果を以下に示しました。50-54MHzで1.5-2dBのロスがありました。45MHzからロスが出始めます。
 60MHz付近から急激に損失が増大します。108MHz付近に深いノッチがありました。アナログTV1-3chのTVI対策でしょう。
減衰特性 特性上はアナログVHF TVに対し十分な損失があります。では、このようなフィルタがあればTVIは撲滅出来たか・・・・というと、そうはいきませんでした(当時の経験から)。
 同軸ケーブルの外被から放射される同相成分(コモンモード)が除去出来ないことが原因、という話が一般化したのが80年前後だったと記憶しています。
 当時、コモンモードフィルタがあれば、TVIは解決していたかもしれません。
 HF帯用のコモンモードフィルタは市販品もあり、自作例も多数紹介されています。しかし、50MHzのフィルタの情報は少ないようです。
 自作なら、HF帯のデータの延長で可能でしょう。
 今、ニーズがあるとしたら、FM放送対策でしょうか。