144MHzバンドパスフィルタ

2011.8.30作成
目的
144MHzバンドパスフィルタ 某OMのシャック整理でいただいた144MHzのバンドパスフィルタ2個です。フィルタはメーカーによって効果差がある・・・と言われており、帯域内外の特性に違いがありそうです。
 データをを取ってみました。
定格
 フィルタはシンワ製の1110とトリオ(現ケンウッド)のBPF-2です。BPF-2は最大電力50Wと明記されています。
 BPF-2は表面にシールを貼った跡があり、4個の半固定バリコンを隠していたようです。このバリコンで特性が調整可能なようです。
 1110は、特に調整箇所は無くケースにシールドされています。
ハトメの裏面処理 ケースを止めるハトメの処理に違いがありました。
 1110左写真の右側)のようにハトメがハンダ付けされていますが、BPF-2(左側)はハンダ付けがなくハトメを曲げて固定しているだけです。
 1110のほうがシールドが良さそうですが、効果は分かりません。
 中を開けることは可能ですが、特性が出ていれば無理に開けなくて良い・・・・と、分解はしていません。
 手持ちの資料で、トリオ発行の「テクニカルニュース No.2」が見つかりました。BPF-2の技術記事が掲載されており、減衰特性は本フィルタとほぼ一致しています。本ニュースによると、隣接周波数の業務無線(警察等の公共設備・船舶)に対する影響を緩和するため、という趣旨の効果が書かれています。
 バリコンで調整する、という考え方は、業務無線にも装着可能なフィルタとして設計・販売されたのではないでしょうか。
通過損失
 SG(HP8656B)から0dBmの信号を入力し、出力をスペアナTR4131に接続して特性を評価しました。
 今回も10-500MHzまでの特性と、中心周波数近辺に分けて表示します。2個のフィルタの特性差を明確にするため、同一グラフに載せました。青色がBPF-2、赤色が1110の特性です。
50-400MHz特性 中心周波数付近
50-400MHz特性 144MHz付近
 BPF-2は、通過帯域が約7MHzでフラット、中心周波数を外れると急に損失が増大します。帯域内でリップルを感じませんが、チェビシェフ特性と思われます。
 一方、1110は通過帯域が平坦ではなく、帯域外の減衰も緩やかです。また、120MHz・180MHz付近に減衰極があります。180MHzは旧アナログVHFTVの5チャンネルですから、4-8チャンネルのTVI対策だったのかもしれません。
 インターフェアは、状況によって効果に差が出たかもしれませんが、今はもう過去の話ですHi。